環境破壊と感染爆発

ボルネオ島の山林火災。この地域では農場開発を目的とした人為的な火災が頻発している。
環境破壊が引き起こす
パンデミック
昨年11月に中国で確認され、世界中で猛威を奮っている新型コロナウイルス(正式名称:SARS-CoV-2)。
コロナウイルスは動物から人、人から人に感染し呼吸器を冒す病原体の一種で、誰もが日常的に感染する風邪の原因となるありふれたウイルスです。人に感染する7つの型があり、うち3種類に重篤な肺炎を発症する危険性があります*1。
電子顕微鏡で観察すると表面に多数の突起をもつ姿から、「王冠」を意味するコロナと名づけられたこのウイルスは、過去にもパンデミックをひきおこしています。最初が2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)、次が2012年のMERS(中東呼吸器症候群)です*2。

ウイルスは、野生動物や家畜、人間の身体の中でしか生きられません。世代交代を繰り返すうちに宿主の生命を危険に晒すほど凶暴になったウイルスが、人間の間で感染爆発を起こす要因のひとつとなったのが、環境破壊です。
近世にはいり、人間社会は膨大な量のエネルギーを消費しながら飛躍的な発展を遂げてきました。食糧の増産や医療の進歩、上下水道などインフラの整備に伴って、人口も爆発的に増えていきました。
そしてやってきた消費社会のための乱開発が、野生動物の生態系をも脅かすようになりました。大量消費をささえる大規模な環境破壊が、現在のようなパンデミックのきっかけになっているのです。
たとえば1970年代から何度も繰り返されているエボラ出血熱の流行は、地下資源が豊富な中央アフリカや西アフリカで採掘を目的に広大な森林が伐採されたことが原因とも指摘されています*3。
マレーシアでは食肉需要の増大のため森林地帯にまで畜産農場を建設したことで、森に棲むコウモリから豚に感染したニパウイルスが人にうつり脳炎を引き起こし、90年代末から現在まで、インドからアジア一帯で十数回も大流行が起きています*4。
私たちの誰もが手にするスマートフォンや、手軽に口にできる加工食品の原料の生産のために破壊された森から、パンデミックは始まっているかもしれないのです。

ボルネオ島のオランウータンの子ども。
気候変動によって拡大する感染症 コロナウイルス以前に、マラリアやデング熱など、蚊やダニといった血を吸う虫が動物から人、人から人へ感染する病原体を媒介することはよく知られています。 気候変動を原因とする地球温暖化でこうした生物の移動範囲が徐々に拡大、アフリカからアメリカ大陸に急速に広がったジカウイルス、ウガンダからカナダに達した西ナイルウイルス、アフリカや東南アジアから亜熱帯・西半球に広がったチクングニアウイルスなど、ウイルスが確認される範囲が広がっています。もともとは中南米や東南アジアなどの熱帯でみられるデング熱が2014年に東京でも確認され、瞬く間に全国に広がったことは記憶に新しいのではないでしょうか。
環境破壊を伴う大量消費社会。
人間がこのライフスタイルを変えない限り、次の世代は産業革命以前の温度よりも4℃高い環境で暮らすことになります。
その環境下では、気候変動に伴う食糧不足、海面上昇による居住範囲の縮小、飲料水の安全性、大気汚染や異常気象の危険性ばかりでなく、未知のウイルスにさらされるリスクまでも高まります。

オオコウモリ。
コウモリは100種類以上のウイルスを媒介するといわれる。

ウエストナイル熱、ジカ熱、チクングニア熱、デング熱などを媒介するヒトスジシマカ。1948年ごろの北限は栃木県だったが、2011年に秋田県・岩手県でも生息が確認されている。
パンデミックと気候変動問題
欧米を中心に新型コロナウイルスの感染が拡大する諸国で広範囲に出された外出禁止令や工場の操業停止、航空便の大半が欠航したことなどから、一時的に二酸化炭素の排出量が大幅に減るという試算が報道されています。しかし依然として地球の二酸化炭素濃度は史上最高値を維持したままです。
もっともたいせつなことは、この感染爆発を通じて、私たち一人ひとりが、持続可能な未来のために人間社会のあり方そのものを見直すことができるかどうか、という点です。
多くの市民が外出を制限され、自動車や飛行機や列車での長距離移動を減らし、経済活動すら最低限にまで圧縮した生活を余儀なくされている間に、それ以前は当たり前だった生活の何が、気候変動問題を含め多くの環境破壊にどう関わっていたかが、目に見えてわかってくるはずです。
この二酸化炭素排出量の低減を、一時的にではなく恒常的に、かつ世界中で続けるためには、科学界や民間企業だけでなく、各国政府の協力も必要不可欠です。
これからの10年間に何ができるかが、人類の未来を大きく左右します。
使い捨てと大量消費の時代を終わらせ、化石燃料の使用量を減らし、二酸化炭素の排出量を減らすことで地球の温度上昇を1.5℃以内に抑え、異常気象や感染症の拡大の原因となる環境破壊をくいとめるために、いまこそ、世界中が手をとりあって行動するときです。
いますぐあなたにできること
脚注
1:MSDマニュアル家庭版
2~3:石弘之著「感染症の世界史」
4:科学的研究の警告:気候変動は感染症の蔓延を加速させる可能性がある
人類の天敵「ウイルス」(2):感染症の続発要因は自然破壊と過密社会
環境に配慮しながら、
ウイルスから自分や家族を守る方法
公共交通機関や職場、学校など、日々の生活の中で私たちは様々なウイルスにさらされています。 感染を予防しながら環境をまもるためにできることを考えてみましょう。
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固形石けんを使って20~30秒手を洗う
オススメはプラスチック包装のない固形石けん。固形でも液体でも、除菌効果に違いはありません。石けんに細菌が残っても、手を殺菌する効果には影響がないそうです。
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スマホを除菌
物の表面に付着した細菌やウイルスなどの微生物は、数時間~数日間に渡って生き延びます。でも、使い捨ての拭き取りシートを使うとゴミになります。また、今の携帯電話の大半ではアルコール消毒液が使用可。
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ぬれタオルを吊るして湿度アップ
空気が乾燥すると、喉の粘膜の防御機能が弱ってしまいます。加湿器を使わなくても、タオルを濡らしてかけておけば、加湿効果があります。
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マイボトルで水分補給
感染症対策で店内用マグカップを廃止したり、タンブラーの持ち込みを断ったりするカフェが出てきました。自宅で用意した飲み物をマイボトルに入れて持ち歩きましょう。
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オーガニックの野菜を使ったバランスのとれた食事で免疫力アップ
管理栄養士によれば、オーガニックの野菜は免疫にもよいそうです。農薬の被害を受けるミツバチなどの生きものや、水や土を守ることにもつながります。
おうち時間のお掃除もエコに
自家製オーガニック洗剤
自宅で用途に合わせた洗剤を作れる、2つの天然素材、ベーキングパウダー(重曹)とクエン酸。
この2つの材料は食用可能な天然由来、使用量に応じて量を調整できるので、使い捨てプラスチック容器のゴミを減らすこともできます。
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排水口の掃除
材料:ベーキングパウダー+クエン酸
1. 一度水を流してベーキングパウダーを排水口に入れます。
2. 温めたクエン酸水を排水溝に入れます。
3. 5分後にお湯を注ぎます。
4. 上記の手順を数回繰り返すと、水の流れが良くなります。 -
トイレ掃除
材料:クエン酸+スプレー
1. 100グラムの水に3グラムのクエン酸を混ぜて「クエン酸水」にします。
2. 毎日クエン酸水をトイレにスプレーすると、殺菌・洗浄効果が得られます。 -
ペーパータオルラック、タオルラック
材料:
ベーキングパウダー+きれいな布
1. 水で湿らせた布にベーキングパウダーをつけて拭きます。
2. 水ですすぎます。 -
靴のクリーニング
材料:クエン酸+大きなボウル
1. 大きなボウルにぬるま湯4リットルとクエン酸大さじ1杯を加えます。
2. 靴を入れて最低3時間浸します。
3. 水でよくすすぎます。
のぞいてみよう

福島県郡山市から避難中で、グリーンピースとともに署名活動をたちあげた森松明希子さんからのよびかけです。
9年前の3月11日・東日本大震災の後、福島第一原発事故による放射能汚染から子どもを守るために、福島で働く夫と離れ、子どもたちを連れて大阪に避難しました。
それ以降、他の避難中のお母さんたちと協力して、原発事故被害者が安心できる暮らしが守られていないことを、国の内外に訴えるために活動してきました。
その声に応え、国連の専門家が私たちがいま置かれている状況を調査するため日本に来たい、と言ってくれています。そこで、この調査を実現するために、みなさんの力をお借りしたくて、グリーンピースと一緒にこのキ ャンペーンを立ち上げました。
いま、避難先での暮らしすら危ぶまれています。
原発事故から9年となる今でも、国内で避難を続けている人は分かっているだけでも4万人以上。私のように避難区域外から避難している人は正確な人数すら把握されていません。
経済的に避難生活を続けることが厳しく、被ばくに怯えながらも福島に帰る方。
除染が終わったから戻れと、避難先から立ち退きを迫られている方。
福島の家が除染のために取り壊され、仕事も失い、避難先で貯金を切り崩しながら暮らしを立て直そうとしている方。
避難先の自治体からの支援が打ち切られれば、避難を続けるのが難しい状況の方は多数存在しています。
自ら望んで避難している人は誰もいないはず。被ばくに怯えることなく、安心できる場所で暮らす権利が私たち一人ひとりにあると思っています。
一方、日本政府は私たちの声を無視して、統計上の避難者の数を減らし、原発事故を終わったことにしようとしています。
その現実を国際社会に伝えるため、私たちはグリーンピースと一緒にスイス・ジュネーブの国連欧州本部へ行き、原発事故被害者の暮らしが守られていないことを訴えました。
東電福島原発事故が始まって以降、私たち原発事故被害当事者、支援者、さまざまなNGOなど、この問題にかかわる多くの人々が国際社会へのはたらきかけを続けています。
申し出てくれたのは、国連人権理事会で国内避難民の人権に関する特別報告者をされているセシリア・ヒメネス・ダマリーさん。特別報告者というのは、専門家の立場から問題を調査して、加盟国に勧告を行うことができる公的な立場の人です。
セシリアさんは、過去にも日本に原発事故被害者の調査を申し入れましたが、日本政府が受け入れず、実現しなかったという経緯があります。
今回こそ、国連特別報告者の調査を実現させてください。
原発事故被害者の中には声を上げたくても、家族のため、仕事のために声を上げられない立場にいる人もいます。
その人たちのためにも、私たちが声を上げる必要があるのです。
国連特別報告者の調査を受け入れるよう、日本政府に求めます。ぜひ、皆さんの力も貸してください。
森松明希子
いますぐあなたにできること
*1:グリーンピースは国連で国際的なNGOに与えられる最も高い地位の1つ「総合協議資格」を持ち、国連の会議に出席しての意見表明や意見書提出などができる。また、環境問題の専門家として各国政府へのアドバイスや提言も行っている。
*2:国連人権理事会 国内避難民の人権に関する特別報告者 セシリア・ヒメネス・ダマリーさん 2016年より国内避難民の人権に関する特別報告者として、エルサルバドル、リビア、ニジェールなどで調査・勧告を行う。特にエルサルバドルとニジェールで、国内避難民の保護に関する法律の立法につながった実績を持つ。
2018年ジュネーブの国連本部で、原発事故によって避難している母親と対面。日本政府の代表団に対し、福島原発事故の避難民が国際法のもとでは国内避難民であることを説明している。
政府は住民の声を聞き
汚染水放出の断念を

東京電力福島第一原発敷地内の処理水タンク。2018年撮影。
新型コロナウィルス感染拡大にともなう緊急事態宣言を翌日に控えた4月6日、東京電力福島第一原発の放射能汚染水(処理水)の処理をめぐって福島市内で「関係者の御意見を伺う場」が開かれました。
経済産業省の「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(ALPS 小委員会)」が今年2月、処理水の海洋放出または水蒸気放出を現実的、とする報告書を発表したことをうけて開かれた会合。
しかし、一般の住民の意見表明の機会は設けられず、今後の予定も明らかではありません。政府はより広い層から、さまざまな形で意見を聞くべきです。
政府は、この日の福島県森林組合連合会会長、福島県漁業協同組合連合会会長らから相次いだ汚染水の放出への反対の声を真摯に受け止め、改めて環境への負荷が最も低い陸上保管の可能性や放射能の除去開発について議論をすべきです。
2018 年に開かれた公聴会では海洋放出への反対が大多数を占め、『陸上保管案』について小委員会で検討することになりました。小委員会では、委員らがタンクの増設のスペース確保や敷地外での保管が可能であると確認したにもかかわらず、最終的に空や海への放出の提言が行われました。
タンク内にはトリチウムだけでなく、ストロンチウムなど危険な放射性物質が基準以上に含まれています。基準値以下に薄めて放出しても、放出される総量は変わらず、大量の放射能を環境中に拡散させることになります。人と環境を守るために、放出は許されません。
いますぐあなたにできること
ついに東京にマイボトル給水機が増えます!
2019年末、東京都がマイボトル給水機の増設計画を発表しました。2019年に行なった「マイボトル 給水機を増やそうキャンペーン」は、短期間で1万人を越える皆さんと一緒に東京都に声を届けることができました。

今回の決定は「プラスチック削減プログラム」に含まれるものです。2050年に向けて東京都が使い捨てプラスチックに対してどう取り組んでいくかを示した壮大なプラン。果たしてその中身は?
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使い捨てプラスチック問題が理解しやすい
とても網羅的に書かれていて、問題について全体像を知りたい人、理解を深めたい方にもオススメ。
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問題を解決するための根本的な議論がされている
政府案は「使い捨てプラスチックによる海洋汚染」にフォーカスしていますが、都は「気候変動を抑え、自然破壊を防ぐために、使い捨てを減らしていく重要性」に着目し、より大きな視点から、生産~消費の仕組みを変える必要性が熟考されている。
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ビジネスモデルの転換と使い捨てからの脱却の必要性が明記されている
使い捨てプラスチック問題の根っこは、使い捨て包装に依存したライフスタイル。使い捨て包装に頼らない、リユース(再利用)・リフィル(詰め替え)のシステムが社会に広まっていくことが明確に書かれています。
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国への提案をしていくことを具体的に明記している
「都は国に対して新たな制度・施策の推進を積極的に提案」とあり、「レジ袋にとどまらず、使い捨てプラスチック全般の削減を促進する制度」「 製造事業者にリユース可能な容器の検討を促す仕組み」などについて、国への働きかけをしていくと明記されています。
まだいろいろと分からない点、
そして今後の期待
- 国が昨年設定した、とても低い数値目標である使い捨てプラスチック削減やリユース・リサイクル目標が東京都の「2030年目標」として入ってしまっている。
- CO2排出削減効果や現実性が問題視されている技術など、今はまだない技術に頼りすぎ。
- スピード感を持った具体的なリデュース対策があまり見えてこない。
- 結局マイボトル給水機は何台設置されるの?
グリーンピースは引き続き、使い捨てプラスチック汚染をとめ、気候変動を抑えるために有効な目標設定になっているかを見極めながら、市民の立場で提言をしていきます。
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いますぐあなたにできること
蜂は自然を育んでいる
オーストラリアのオーガニック養蜂場レポート
オーストラリア北西部、世界最古の熱帯雨林が広がるクイーンズランド州にいるボランティアのリナさんからの報告です。

持続可能な方法で蜂を育てているオーガニック養蜂場を見せてくれたのはダンさん。
ダンさんは、オーストラリアの農業水産省で働く傍ら、農場をもち、ハチを育てています。化学物質や農薬を使用せず、自然に則した方法でミツバチを管理します。
養蜂場は自然の中や、民家の集まる住宅街、大学のキャンパス内など、様々な場所にあります。そこで蜂蜜や蜜ろうを採取し、異なった環境を利用して蜂の寄生虫や病気について研究しています。
ダンさんの農場では、ハチとともに野菜や果物を育てています。養蜂場のハチたちが作物の受粉を助けるのです。
養蜂場内では鶏を7羽飼っています。鶏たちは、土を掘り起こして、蜂の巣に住みつく寄生虫を食べます。虫や野菜くずなどを食べて育った鶏たちからは、健康な卵が採れます。それをダンさんは家族と大切に食べま
す。卵を産まなくなった年老いた鶏も、最期まで育てるそうです。そして、鶏たちのフンは肥料になります。
ダンさんはこの農場で小さな命の循環をつくっているのです。

世界で広がるネオニコチノイド系農薬の使用規制・禁止
ハチはすべての栄養素を花から得ています。花の蜜から炭水化物を摂取し、花粉からタンパク質を摂取します。
ハチは開花植物の受粉を助ける大きな役割を果たしていて、私たちが食べている作物の3分の1を受粉していると言われています。ハチにとって花は大切な食料であると同時に、植物にとってもハチは受粉を媒
介する大切なパートナーです。
ミツバチや他の昆虫が花粉を運び植物の受粉を助け、環境保護に大きく関わっていることから、世界では農薬の規制が進んでいます。
中でもネオニコチノイド系農薬は、ミツバチが巣からいなくなる蜂群崩壊症候群や大量死などミツバチへの害をもたらす危険性が指摘されていて、EUでは2018年4月に屋外での使用が禁止されました。アメリカや
中国、韓国でもネオニコチノイド系ミツバチに有害な農薬を一部規制しています。また世界的にはオーガニックの農産物の市場が大きく伸びています。
日本ではネオニコチノイド系農薬の規制が依然としてできていません。2017 年には、農林水産省は新たにネオニコチノイド系農薬スルホキサフロルの使用を承認しました。これは、アメリカが2015年に販売禁 止にした農薬です(後に使用範囲を制限して再登録)。日本の農業政策は、環境保護の観点で世界から大きく遅れを取っており、有機農業の伸びもわずかです。グリーンピースは、日本政府もネオニコチノイ ド系農薬を規制し、農家が環境と調和した農業を進めやすいよう支援する必要があると考えます。
いますぐあなたにできること
Supporter’s interview 上野正美さん
グリーンピースをご寄付でサポートしてくださる皆さんをご紹介するSupporter’s interview。
今回は三重県伊勢市にお住まいの上野正美さんにお話をお伺いしました。

街頭で署名を集める上野さん

上野さんのご自宅で保護しているネコたち。
福島の皆さんはもう家族
三重県には原発がありません。
それはつくらせないための運動をしてこられた方々の成果なのですが、そういった勉強会に何度か参加したことがあって、そのつながりで東京電力福島第一原発事故の後、福島の子どもたちの保養─家族単位で招いて短期的に避難してもらう─をお手伝いすることになりました。看護師免許を持っているので、医療面でサポートできると思って。
最初は2011年の夏休み。インターネットで募集して、初めのころはぜんぶで20人くらい。お母さんたちは子どもたちの健康にそれは細かく気を遣っていて、福島では土にも触らせない、雨にも当たらせない、洗濯物も外には干せない。だから伊勢に来て、雨が降ったらわざと傘を外して「雨にあたってもいいんだよね」って、海辺に来れば「裸足で歩いてもいいんだよね」って、洗濯物だって外につりっぱなし、それができることにとても喜んでくれました。
食べ物もなるべく身体に良いものを準備して、自炊してもらって。二度目の冬休みからは会を立ち上げてグループで受け入れるようになりました。「ふくしまいせしまの会」といいます。これまでに21回、のべ500~600人を受け入れてきました。会では2012年10月から野菜の支援もしています。地元のものを送料はこちら負担で、福島の皆さんに毎月食べてもらっています。
根本的な問題は何か、ちゃんと法律をつくるべきじゃないかって、「原発災害に伴う放射能災害から伊勢市を守るための条例」を制定してもらう活動も始めました。伊勢市から一番近い原発は、静岡県の浜岡原発で130km、福井県の原発は15機あって150kmの距離です。もしそこで事故が起こったら、放射性物質が飛んでくる可能性があります。そうなったらどうやって市民をまもるのか。いったい誰がどう責任をもってくれるのか、あらかじめ決めておかなくてはいけません。京都大学の小出裕章先生や柳原敏夫弁護士にもご意見をいただいて、市長にも市議会議員にもはたらきかけて、署名も集めて提出しました。もし決められたら、伊勢が全 国で初めてこういう制度を持つことになる。制度があれば、原発の再稼働の抑止力にもなります。
署名には、福島から伊勢に移住した皆さんも積極的に協力してくれました。嬉しいのは、福島の人たちと家族みたいになれて、初め小学生だった子がもう大人になる、そういう成長を見守れることですね。
グリーンピースは若い方が一生懸命幅広い活動をしていて、しかも独立してやっていくのはたいへんなことだと思います。福島での調査には、くれぐれも気をつけて行ってほしいと思っています。
世界のグリーンピースのニュースをお届け!

気候変動をくいとめる
大きな第一歩

ダボス会議会場でのグリーンピースのアクション。
みずほFG・SMBCが石炭火力事業への投融資に新方針を発表
3月末、国際的な海洋保護条約の合意に向けた国連交渉が最終段階に入る予定でしたが、年末への延期が決まりました。11月に開催予定だったCOP26(国連気候変動枠組条約締約国会議)も延期。いずれも新型コロナウイルスの感染拡大の影響です。
でも、気候変動問題に延期はありません。
なかでも、二酸化炭素をもっとも多く排出することで、気候変動問題の原因のひとつとなっている石炭火力発電。それだけでなく深刻な大気汚染や有毒な石炭灰などあまりにも高い環境負荷を持つこのエネルギーは、世界的に投融資が大きく削減されつつある中で、もはや日本や中国などの限られた金融機関ばかりがお金を出して新設され続ける状況にありました。
グリーンピースは日本の大手銀行に対し、地球環境にとって危険な石炭火力への出資をやめるよう、地道にはたらきかけを続けてきました。
そして4月15日、みずほフィナンシャルグループ(以下みずほFG)がついに、石炭火力発電事業への新規投融資を停止する方針を示したのです。
これは大きな第一歩です。
みずほFGが新しい方針を発表した翌日の4月16日には、三井住友フィナンシャルグループ(以下SMBC)も新方針を発表しました。
ところが、こちらの新方針では新規の石炭火力発電所への支援は原則行わないとしているものの、一部の新技術や技術開発への投融資は例外とされ、既存の事業も除外。つまり、石炭火力発電事業に今後も資金を提供する余地があることになります。
気候変動は、異常気象や旱魃といった大災害や、海面上昇、水不足や食糧不足、それに伴う紛争、未知の病原体による新たな感染症の発生などを引き起こすまでに悪化してしまう危険性があるのです。
グリーンピースは引き続き、みずほFG、SMBCや三菱UFJフィナンシャル・グループなどのメガバンクに対し、石炭に依存する電力会社への投融資の段階的な停止を求めていきます。
各銀行はもちろん、主要株主との、これまで以上に積極的に直接交渉。そしてメディアも掴みにくい各銀行の海外への石炭火力投資先の調査を、グリーンピースの国際ネットワークを駆使して、継続してまいります。
Greenpeace Japan officeより
Announcement
2019年版年次報告書
2019年版年次報告書が完成しました。
皆さまからのあたたかいご支援とご協力のおかげで、2019年もグリーンピース・ジャパンは地球規模で起こる環境問題に取り組むことができました。
金融機関に対し、石炭火力への投資をしない方針を求めるなど、気候危機に向けて取り組みを強化しました。また、使い捨てプラスチック問題への取り組みも継続、グローバルな活動では、過去最悪の事態と言われたアマゾンの森林火災において、世界中のグリーンピースと連携し、国際署名を実施しました。
グリーンピースの活動を支えてくださった多くの皆さまに心より感謝申し上げます。
これからもぜひ、グリーンピースと一緒に行動してください。
ダウンロードはQRコードかhttps://act.gp/3eFn02Xから、郵送をご希望の際はサポーター窓口までご連絡ください。

Member of Greenpeace Japan office

青森県出身。経理担当。
アメリカの美術大学を卒業後、一旦帰国し、2010年に再びアメリカへ戻り短大で会計学を学ぶ。在学中NPO団体で経理のインターンとして働く。
帰国後は小売店での在庫管理、イベント会社での経理を経て、2020年3月グリーンピースに入職。
趣味は水泳、美術館巡り、写真、料理、ミシンを使ったDIY。
関心はオーガニック食品とテキスタイル。猫好き。
サポーター窓口より
担当:金海
何をするにもどこに行くにも、あらゆる行動が極端に制限されていた時期、改めてご寄付でグリーンピースを支えてくださる皆さまのありがたみが身にしみて感じられました。
どうかこれからもグリーンピースをよろしくお願いいたします。
About us
グリーンピースは
政府や企業からの援助をうけず
市民の力だけに支えられて
独立して環境保護にとりくむ
国際NGOです
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TEL
03-5338-9810
(平日午前10時〜午後18時)
詳細な調査結果など各種資料のご請求・お問合せ、
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サポーター窓口(担当: 金海)までお気軽に
ご連絡ください。