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東京電力福島第一原発事故から10年。
私たちにできることを、いま。

20,000人以上の命を奪った
東日本大震災から、10年が経ちました。
あなたにとっては、この10年は、
どんな時間でしたか?

あの日をきっかけに、
新しい仕事や暮らしをはじめた人。
震災と津波の爪痕が残るまちで、
前を向いて歩み続ける人。
あの時は幼かったけど、
年を追うごとにあの日の重みを感じている人。

一方で、10年の時が流れてた今でも、
福島第一原発事故によって
数万もの人々が、
故郷から離れて暮らしています。

原発事故が起こるまで気づかなかったのは
原発を使い続ける限り、
原発で働く人やその周囲で暮らす人が
負担を背負い続けるということ。
原発事故は、故郷を奪い、
家族を離れ離れにし、
処理のために多くの人に
犠牲を強いるということでした。

次の10年こそ、
人も自然環境も犠牲にしない社会を作るために
私たちに何ができるか、一緒に考えませんか?

福島の10年、そして今

2021年最新放射線調査

グリーンピースは2011年から毎年、福島県で放射線調査を実施し、各地の放射線レベルの推移を記録しています。最新の調査でも、除染が終了している地点で再汚染が確認されました。除染不可能な森に蓄積した放射性物質が、雨や風で流れ出している可能性が高いと考えられます。2020年は新型コロナウイルス感染症に最大限の注意を払った上で、期間と人員を最小限にとどめて、調査を行いました。

浪江町を流れる高瀬川河川敷での調査の様子。測定器を使って、放射線量を細かく調べていきます。写真の場所では前年、局所的に高い放射線量を示す「ホットスポット」が確認されました。

放射線の測定機器の準備をするスタッフ。手前は、携帯して歩いた地点の放射線量を逐次記録する測定器で、スタッフは一定の速度、間隔を保ちながら、調査地点をくまなく調べます。

放射性物質が溜まりやすい草むらなどは、この測定器で計測。写真では、地表付近で毎時1.97マイクロシーベルトと高い線量を示しています。調査中は安全確保のため、こまめに計測します。

継続的に放射線量の変化を観察することも、グリーンピースの放射線調査の大きな目的のひとつです。今回の調査でも、住民の安齋徹さんにご協力いただき、自宅跡の線量を測定しています。

調査のため移動していると、汚染土を運び出す何台もの大型トラックとすれ違います。南相馬市にある汚染土の保管場所からは、ほとんどの汚染土が運び出されていました。

浪江町の加倉スクリーニング場。放射線量の高い「帰還困難区域」への出入り口には、こうしたチェックポイントが設けられ、通行の制限や放射性物質のスクリーニングが行われています。

原発事故から10年経つ今も、通行すら制限される区域が存在します。浪江町の帰還困難区域を走行していると、手元の線量計が高い数値を示し始めました。(立ち入りには許可を得ています)

浪江町の帰還困難区域内にある調査場所付近では、重機による放射能汚染土の除去作業が行われていました。周囲には、安全のため長時間の駐車をしないよう促す立て札も置かれていました。

土に含まれる放射性物質は雨や風で移動し、写真のような落ち葉や泥などが溜まりやすい場所は、流れ出した放射性物質が集まってホットスポットができることもあります。浪江町での調査。

浪江町の帰還困難区域内の民家での調査(※許可を得て調査を行っています)。この場所でも継続調査を行なっており、前年までの調査結果を踏まえながら、注意深く線量変化を調べています。

データは、専門の知識と経験のあるスタッフが分析し、公表しています。悲惨な事故を繰り返さないためにはどう行動すべきか。これからも、科学的根拠に基づき、目指すべき道を発信します。

福島とともに10年間の歩み

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  • 2011専門家チームによる放射線調査を開始
    事故直後の3月下旬、放射線の専門家らでつくる調査チームを福島に派遣。福島県飯舘村や浪江町など6カ所で、事故が起きてから初めての放射線調査を実施しました。調査結果を公表し、30km圏外においても調査データに基づいた科学的な避難地域設定をするよう勧告。その後、原発から40km離れた飯舘村で避難指示が出されました。詳しくは >
  • 2011株主総会で東京電力に賠償を求める
    6月、福島第一原発事故を起こした東京電力の株主総会が開催され、グリーンピースは会場のホテル前で、「脱原発と賠償で責任を!」「福島の子どもたちを守って!」などのメッセージが書かれた抗議のバナーやプラカードを掲げ、東電に原子力発電からの撤退を求めました。
  • 2011スーパーの魚介類の放射線量を調査
    スーパーマーケットに対し放射能汚染への取り組みについてのアンケート調査、各社で購入した魚介類の自主放射能検査を実施しました。魚介類の放射線量の計測、流通基準の策定、漁獲海域表示を要請し、イオンが、放射能検査の品目数拡大と分析結果の公開、流通基準の厳格化を発表しました。詳しくは >
  • 2012モニタリングポストの
    信頼性調査、改修工事へ
    福島市内のモニタリングポスト40カ所を調査し、75%にあたる30カ所で、周辺の放射線量よりも低い値が示されていたことを公表。住民に誤った安心感を与える恐れがあることから、政府に対応を求めました。地元住民の運動もあり、その後政府は、675台の改修工事を発表しました。
  • 2012大飯原発の再稼働を止めるため福井支部を開設
    関西電力大飯原発の再稼働を止める地元の活動を支援するため、臨時の福井支部を開設。県議会傍聴を呼びかけて、福井県議会史上最多の傍聴者が詰めかけたり、原発事故担当大臣への抗議に参加したりしました。詳しくは >
  • 2012世界10カ国で原発事故当事者の講演会を開催
    グリーンピースは、東電福島原発事故の被害に会われた方々を、香港、南アフリカ、フランス、ベルギー、オランダ、イギリス、スウェーデン、フィンランド、ポーランド、スペインに招いて講演会などを行い、各国のメディアで大きく報道されました。そして、写真家ロバート・ノース氏による写真展も15カ国で開催しました。
  • 2013原発メーカーへの責任を問う
    原発メーカーにも原発事故の製造責任を適用するよう、原⼦⼒損害賠償法の改正を求める国際署名を実施しました。日立、GE、東芝は福島第一原発を設計、建設、維持してきたにもかかわらず、何の責任も問われていません。原発事故2周年となる同年3月には、法改正を求めて国会議事堂前でアピールしました。詳しくは >
  • 2014世界5カ国のメディアや活動家と福島を訪問
    グリーンピースは、インド、韓国、ポーランド、ドイツ、フランスのメディアや活動家とともに、原発事故の被災者5人を訪問。原発事故で避難を余儀なくされた被災者との対話を通して、厳しい事故の現実を世界に伝えました。
  • 2015地震・火山の
    リスクを明らかに
    九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働をめぐり、グリーンピースは、川内原発の耐震性評価の問題点や、火山灰によるリスクについて指摘する報告書を発表しました。また、川内原発前や原子力規制委員会前で行われた抗議活動に加わり、再稼働反対を強く訴えました。詳しくは >
  • 2015福島から
    自然エネルギー100%
    2040年までに自然エネルギー100%を目指すことを発表した福島県の動きを後押しするため、同三春町のコミュニティと協働し、クラウドファンディングを実施して、コミュニティショップの屋根にソーラーパネルを設置。「福島から自然エネルギー100%を」というメッセージをコミュニティとともに発信しました。詳しくは >
  • 2016「虹の戦士号」を
    福島沖に招致し世界へ発信
    グリーンピースのキャンペーン船「虹の戦士号」を日本に招致し、菅直人元首相や国内外のメディアを招待して、東電福島第一原発前を航行しました。発生から5年が経過した原発事故の現状が各国のメディアに取り上げられ、100件を超える記事を通して世界に発信されました。詳しくは >
  • 2016放射能の生態系内で動きを明らかに
    飯館村の森に着目した調査の結果、森に溜まった放射性物質が川に流れ込み、河口を汚染していることがわかりました。森、川、ダム、湖そして河口への放射性物質の流れを追いながら、環境への影響は、複雑で広範囲にわたるということを放射能測定調査結果と文献調査によって警告しました。詳しくは >
  • 2017「避難指示解除」の
    飯舘村で生涯線量を推定
    避難指示解除が迫り、住民が帰るか避難を続けるかの決断を迫られる飯舘村で、住民の協力のもと7件の民家で放射線調査を測定。今帰還すれば、胸部X線の検査を毎週受けるのと同程度の線量を屋内で計測した民家もあることを発表しました。避難を続けたい住民の意思を尊重し、補償を継続することを国に求めました。詳しくは >
  • 2017女性と子どもの
    深刻な被害を警告
    東電福島第一原発事故への日本政府の対応が、数多くの人権侵害を引き起こし、特に社会的弱者であり、かつ放射能の影響をより強く受ける女性と子どもに深刻な被害を及ぼしていることを、報告書を発表して指摘しました。詳しくは >
  • 2017原発部品の
    強度問題を指摘
    フランスで日本メーカー製造の原発部品に強度不足の疑いが生じたことにより、日本でも同様の異常が懸念されることを受けて、重要設備の強度不足に関する報告書を発表しました。稼働中の原発と再稼働が認可されている原発を優先して、全ての原子炉での部材検査を行うことを原子力規制委員会に求めました。詳しくは >
  • 2018避難者と共に
    国連人権理事会へ
    2017年9月には原発事故被害者の避難の権利を国連⼈権理事会に訴えるため、ジュネーブへの渡航費や活動費のクラウドファンディングを開始。翌10月、被害者の女性とともに渡欧し、国連⼈権理事会加盟国代表の前で直接被害を訴えました。翌2018年には国連人権理事会へも。詳しくは >
  • 2018人権を無視した政府の帰還政策を批判
    飯舘村や浪江町の避難指示が解除された地域で、国際基準と政府の長期目標の年間1ミリシーベルトをはるかに超える放射線量が続いている地点があり、除染の効果は限定的であることを明らかにしました。政府がこれらの地域の人々への賠償を打ち切る形で帰還を進めることは、人権侵害であると訴えました。詳しくは >
  • 2019原発労働者の被ばくの実態を明らかに
    元除染労働者の方のご協力の元、除染作業員や原発労働者の被ばく・人権についての報告書を発表しました。住民が帰還して安全に暮らせると思われるレベルにな ることは見込まれないにも関わらず、除染労働者が高いレベルの放射線にさらされている現状を明らかにしました。詳しくは >
  • 2019聖火スタート地点で
    ホットスポットを確認
    グリーンピースの放射線調査で、東京五輪聖火リレーの出発地となるJヴィレッジで、複数のホットスポットを確認。最も高いものは、放射線量が地表面付近で除染目安の308.7倍に当たる、毎時71マイクロシーベルトに上りました。グリーンピースは分析後ただちに環境大臣に結果を通知。東京電力は、ホットスポットの土を除去しました。詳しくは >
  • 2020台風による放射性物質の再拡散を警告
    放射線調査の結果、放射性物質の貯蔵庫となっている森から、台風によって放射性物質が移動し、再汚染が広がっている可能性が明らかになりました。気候変動によって台風がさらに強力になることが懸念される今、一度の除染だけでは元通りにすることはできないことを警告しました。詳しくは >
  • 2020放射能汚染水の
    適切な処理を求める
    グリーンピースは、住民やパートナー団体とともに、政府と東電に対し、海洋放出をやめ敷地内保管の継続と新たな処理技術の適用を求めています。10月には、汚染水に含まれる放射性炭素が、DNAに損傷を与える可能性を指摘する報告書を発行。国内外からの反発もあり、政府は2021年2月時点で、海洋放出を決定するに至っていません。詳しくは >

あなたの10年を、
聞かせていただけませんか?

あの日から、変わったこと、変わらないこと。
あの時感じたこと、今考えていること。
あなたの10年を振り返ってみませんか?

環境=文化アクティビストとして長年反原発活動や
スロームーブメントを進めてきた辻信一さんが
みなさんから投稿いただいたストーリーを読んで
この10年をエッセイと
トークイベントで振り返ります。


写真と証言で綴る福島
12人の10年

© Christian Åslund / Greenpeace

グリーンピース・ジャパンの10年間の思いグリーンピース・ジャパンの
10年間の思い

原発事故からの10年間の活動を振り返ると、放射線調査にご協力いただいている福島県の方々や避難生活を強いられている母子避難のお母さんたちに、私の方が励まされていたことばかり思い出します。

ご自宅の放射線量を計測させていただいている方からは、「帰れ帰れと言われるが、グリーンピースは家に帰れない理由を測ってくれている」という言葉をいただきました。

独立した立場で調査し、国際ネットワークを生かして発信する環境団体として、少しでも福島の方々の力になれていたらと願うばかりです。

住民の声を無視して、地域を分断して作られる原発は、民主主義とは対極にあります。

しかし、太陽光や風力などの自然エネルギーも、人々の声が反映されなければ、民主的な電源とは言えません。

地域に開かれ、住民のためにこそあるエネルギーが次の10年ではもっと広がっていくように、グリーンピースも引き続き、力を尽くしていきます。

私たちの活動を支えてくださっているみなさまには感謝しかありません。だからこそ、結果を出さなきゃいけない。ぜひこれからも、私たちと一歩ずつ歩んでいただけたら幸いです。

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン、
気候変動/エネルギー担当
鈴木かずえ|Kazue Suzuki
1991年に入職し、核軍縮、原子力などのキャンペーン担当を歴任。
2011年の原発事故からは、放射線調査の結果を国内外への発信、
避難者の人権を国連人権理事会を通して国際社会に訴える働きかけ、
放射能汚染水の海洋放出反対キャンペーンなどを行う。

次の10年でつくろう
放射能や気候変動に
怯える必要のない社会を

菅首相は、2050年までに二酸化炭素排出を
実質ゼロにすることを宣言しました。
しかしそのために、
原発を再び稼働させようとしています。

放射能も、猛暑や台風などの気候変動も
恐れなくていい社会を、
私たちは実現できるはずです。
「原発なし」で二酸化炭素排出ゼロを
実現するために、
政府に一緒に声を届けませんか?

日本のこれからのエネルギーを決める
「エネルギー基本計画」が
つくられている今、
私たちの声を届けるチャンスです。
次の世代も安心できる未来のために、
ぜひ力を貸してください。

© Guillaume Bression / Greenpeace